昔のような青ばなを垂らした子供さんはあまり見かけなくなりました。これは細菌感染が主体の蓄膿症で、抗生物質が発展した現在では治療が容易になったからです。蓄膿症とは副鼻腔に炎症が生じた状態を表す俗語です。

鼻水が止まらないとお母さんは風邪が長引いているとお思いです。実際には蓄膿症の初期はそんな症状で始まります。現在の蓄膿症は、アレルギー性鼻炎に細菌感染が合併していることが多く、良くなったり悪くなったりを繰り返します。細菌を叩くだけでは完全にはよくならず引き続きアレルギーの治療が必要になります。

副鼻腔の炎症を診断するには顔のレントゲン検査をいたします。副鼻腔の粘膜はアレルギーの関与が大きいほど肥厚しています。治療には1ヶ月以上かかることもしばしばありますが子供のうちのしっかりと治しておけば、成人に持ち越すことはありません。

【治療方法】

1) 抗生剤の投与

マクロライド系の抗生剤を投与します。細菌の抑制のほか粘膜の免疫力を高めたり、粘膜表面にある繊毛の運動を活発にさせる作用があります。治療に時間がかかる場合は少量長期投与といって、投薬量を半分以下にして3ヶ月をめどに飲んでもらいます。

2) 抗アレルギー剤の投与

抗アレルギー剤の投与を併用します。また採血でアレルゲン(アレルギーの原因物質)を同定して予防していただくことも重要です。 レントゲンにて副鼻腔の病変が消失するまで行います。


▲治療前6歳男児

▲治療後2ヶ月